MMA武道連盟主催「第5回総合格闘技大会」において一番出場者が多く、最も熱い激戦となった中量級。その決勝戦と準決勝戦の詳細を入賞した上位二人に焦点を当ててレポート。中量級には、前回大会の優勝者・正宗蒼士と前々回大会の優勝者である絶対エース・丸山界人が出場。正宗は柔道と空手の有段者であり、様々な大会に出場し総合格闘技の経験も豊富。一方、丸山も空手の有段者で柔道と柔術のほかにキックボクシングの経験を持つ。両者共にオールラウンドファイターだ。
両者の“安定した実力”が見られた準決勝戦
まずは準決勝戦を振り返る。正宗は柔術に長けている谷口勇輝と対戦。1R2分が過ぎた辺り、正宗の体重が乗った左ハイキックによって谷口が崩れる。正宗はすかさず右ストレートと左ボディから飛び膝蹴り。谷口がたまらず組み付く形になった。直後、正宗の払腰でグラウンドへ。首を極めさせないよう抵抗する谷口に対し、持ち前の技術で圧倒する正宗。3分27秒、正宗の得意とする裸絞め(チョークスリーパー)で勝敗が決まる。
丸山の準決勝戦の相手は打撃が得意なハードパンチャー・桑原大樹。丸山は桑原のラッシュを回り込みながら避けて的確にローキックを当てていく。テンポよくパンチとローキックをまとめる丸山に対し、1R3分30秒過ぎから桑原は露骨にローキックを嫌がる素振りを見せ始める。2R、ダメージで動きが鈍る桑原に丸山はここぞとばかりにジャブを交ぜつつ、ローキックを連発。後半、激しい打ち合いの中、決め手になるヒットはなかったものの、勝敗は誰の目から見ても明らかな展開で2R終了。判定0-3で丸山の勝利。
決勝戦は強烈な“三日月蹴り”で動きを封じて完全勝利
注目の決勝戦では1R開始すぐに正宗と丸山が打撃で激しくぶつかり合う。3分過ぎ、丸山の右ストレートに正宗が完璧なタイミングでカウンターを決め、鈍い音が響き渡る。正宗は打撃を警戒する丸山に対し、パンチとキックの組み合わせで徐々に距離を詰めていく。なんとか切り抜けた丸山がタックルに入るが見切られて潰される。正宗が内股で丸山を投げるも勢い余って上下が入れ替わり、丸山が上、正宗が下に。ガードポジションの状態になった正宗は三角締めで丸山の頚動脈を締め上げていくが、あと少しのところで時間切れ。ここで1Rが終了。
2Rに突入。丸山の右フックをスウェーバックでかわした正宗が、三日月蹴りを丸山の右脇腹(レバー)にクリーンヒットさせる。苦痛の表情を浮かべる丸山に対し、正宗はこの好機を逃さず連打を叩き込む。1分39秒、隙が出来た丸山に正宗の後ろ回し蹴りが直撃。ここで審判が止めに入ってTKOによる決着。正宗はこの戦いに勝利したことで”大会二連覇達成”の快挙を成し遂げた。また、試合終了後にはお互いが健闘を称え何かを語り合っている様子だった。丸山は「あれ(脇腹のダメージ)で動けなくなった、完全に自分の負けだ」と話したという。
【文/佐々木幸子】
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